Jared Diamond『Guns, Germs, and Steel』
後書き前の最終章が日本についての歴史考察だった。日本国内では中々得難い歴史情報だと思うため紹介したい。
日本人は特殊だ。見た目こそ中国人、韓国人に似ているが、人間気質的には両国民とは明らかに異なる。西欧からの植民地被害も受けていない。
日本人はどこからやってきたのか?考古学の観点から日本人とは誰なのか?同書に答えの1つが記されている。
日本人のルーツを説く理論は4つ存在する。
- 氷河期紀元前20,000年に移住
- 紀元後4世紀大陸の遊牧民が移住
- 紀元前400年韓国人(朝鮮半島人)が移住
- 上3理論の混在
結論から述べると、著者は3.の韓国人が日本へ移住してきた説を支持している。その理由をこれから紹介したい。
その紹介の前に1度、時系列で日本の歴史を振り返る。
紀元前20,000~11,00年
氷河期。大陸から日本列島へ人類が移住。
紀元前12,700~300年
縄文時代。縄文土器の使用を特徴とする狩猟生活。
紀元前660年
神武天皇即位。(神武天皇の実在は不明。)
紀元前400年
?。日本列島で変化が起きる。
紀元前300~紀元後300年
弥生時代。農業生活を開始、金属製品の製造・使用。
紀元後300~686年
古墳~飛鳥~奈良時代。古墳の出現。
紀元後712年
古事記出版。
紀元前400年問題
ゴミや生活史跡から人間が日本列島に住み始めたのは早く見積もって紀元前20,00年頃であることはほぼ間違いない。また、縄文土器を代表する考古品からおよそ紀元前400~300年まで狩猟生活をしていたことも間違いない。
悩ましいのは縄文時代から弥生時代への転換期である。紀元前400年頃に明らかな生活スタイルの変化が生じている。何が起きたのか?
日本の立場から見た転換要因は「中国、韓国から農業、製鉄方法を輸入した」である。輸入したのはあくまで技術だけで、中国人、韓国人は日本へ移住してこなかったという考え。もう少し日本側の偏見を加えると、「触りだけ教えてもらって後は自分たちで昇華させた」ことになる。日本が自国への貢献度を最大化したい日本中心の考え方だ。
この仮説とは他にもう2つの仮説がある。1つ目は韓国人日本侵略説、2つ目は少数韓国人日本移住説だ。この2つは同じようで微妙に違う。韓国人日本侵略説は明らかな領土獲得意志が込められているが、少数韓国人日本移住説によればあくまで日本領土で韓国人が増えたのは棚から牡丹餅だ。
狩猟生活と農業生活では人口増加率が圧倒的に違う。例えばだが5,00人の韓国人が日本へ移住してきたとして、年4.5%で人口が増加したとすると、弥生時代の終わりまでの700年間で日本に住む韓国人人口は5百万に達する。
結果として、紀元後300年には日本人の人口構造は韓国人>日本人となった。この後2つの理論の内どちらが有力かは、今ある証拠だけではな説明がつけられない模様。
ではネイティブ日本人はどこへ行ってしまったのか?
解剖学観点
縄文時代の日本人と弥生時代の日本人の頭蓋骨をDNA鑑定すると面白いことがわかる。縄文時代の日本人の頭蓋骨はアイヌ人のそれに似ているのに対し、弥生時代の日本人のそれは現在の日本人・韓国人と大差がない。
百歩譲って韓国からの移民があったことは認めるとして、今の日本人はネイティブ日本人と韓国人の混色なのではという疑問が湧く。
残念ながら混色の割合は乏しく、ほとんど韓国人よりな結果らしい。ネイティブ日本人は韓国人から迫害を受けたのか。それとも自然消滅してしまったのか。
世界中の新天地開拓の歴史を観察する限り、自然消滅した可能性は低い。多少のミックスは存在しただろうが、より高性能な武器を保有する民族が低性能な武器しか保有していない民族、はたまた何の武器も持っていない民族と衝突した時は、前者が後者を武力を行使して圧倒した可能性が明らかに高い。
ネイティブ日本人は韓国人によってほぼ滅せられた。
言語学観点
ただ解剖学で説明できない点が1つある。日本語と韓国語の違いである。
言語学的に日本語と韓国語の違いが過去2千数百点で生じたとは考えづらく、少なくとも両言語の派生は5,000年前に起きたというのが言語学者の見解だ。
「やった。自分はやっぱり韓国人じゃないんだ。」と喜びたいところだが、そうは問屋が卸してくれるはずもない。日本人が日本に有利な理論をたくさん見つけるように打開案はどこからともなく浮上してくる。
朝鮮半島が初めて統一されたのは紀元後676年のことである。それまで朝鮮半島は、新羅・高句麗・百済の三国時代であった。勝利を治めたのは新羅で、現韓国の祖は新羅ということになる。そして、戦いに敗れたしまった高句麗が使っていた言語は昔の日本語との類似点が比較的多い。
紀元前400年に日本へ渡ってきたのが、新羅の祖先ではなく、高句麗の祖先であったとしたら、今の日本語と韓国語の違いも説明が付くというわけだ。
私的解釈まとめ
同書を読んだ上での自分なりの理解をここにまとめたい。
人類が日本列島へ最初に足を踏み入れたのは紀元前20,000年。北海道と九州で違いはあれど、ネイティブ日本人はアイヌ人のような種族だった。紀元前400年、韓国人—高句麗先祖—が日本へ移民。韓国人は約700年ほどかけて、日本(九州・本州・四国)を占領・統一。紀元後300年を堺に、古墳造りなど全国的に習慣や道具など身の回りに形式が見られる。ネイティブ日本人は殺されたか、生き残りは北海道へ逃亡。
現日本人の先祖は、紀元前400年朝鮮半島からやってきた高句麗の先祖。韓国人=新羅の子孫、日本人=高句麗の子孫なので、日韓の仲が悪いのも納得がいく。
ノマドを始めてからやたらと北海道と九州を行き来する自分。同書を読んで、なぜ北海道と九州に惹かれるかわかった気がする。北海道はネイティブ日本人最果ての地、九州は日本人最初の地だから。