Zac Fukuda

レム・コールハース『S, M, L, XL+』

仕事をする上で嫌いものが四つある。電話、メール、ミーティング、それから飲み会。

自分にとって、リモートワークをする上での一番のメリットは飲み会に誘われないこと・出席しなくて済むことだ。歓迎会、忘年会、新年会、決起会、打ち上げ。日本人はやたらと仕事後の時間に仕事付き合いを求める。

飲み会に出ない人は「ノリが悪い、付き合いが悪い」レッテルを貼られる。勤務時間外の行動で人事評価が下される。ハラスメントだ。

飲み会を開く理由は、チームの結束力、モチベーションを高めらるからであろう。しかし、給料は出ない。新入社員、若手社員などは、飲食代を幾分奢ってもらえるかもしないが、飲み会の場で資金分配が行われるのであれば、初めから給料を分配しておく方が効率的だ。無駄な所得税を払わなくて済む。

厄介なのはミーティングだ。ミーティングはコストパフォーマンスが悪い。五人が一時間ミーティングをしたとする。一人あたりの時給が安く見積もって三千円だとして、一万五千円の買い物だ。目の前のミーティングに一万五千円の値札がぶら下がっていて、それを買うか? 買わない。

ミーティングが無駄だとは思わない。しかし、ミーティングの敷居はもっと高くし、最終手段とすべきである。

ではなぜ人々はミーティングを開くのか。ミーティングは大抵の場合、管理者ないし権限者の状況確認・状況判断のために開かれる。つまり管理者・権限者以外はミーティングを必要としていない。

「昨日〇〇して、今日XXする予定です。YYが必要なのですが、どうすれば良いでしょうか?」チームメンバーの一人がミーティング中に発言する。「昨日〇〇して、今日XXする予定です。特に問題はないです。」自分が言う。

チームメンバー同士、お互い何をやっているかはおおよそ把握している。詳細を知る必要はない。それはその人の担当で、自分が深く関与することではない。自分が何をしているのか全く把握していないのは管理者だけだ。

この状況認識格差は、管理者が実行者でない時に生じるというのが自分の見解だ。実行者同士であれば、時折の状況確認は必要だが、ミーティング、ましてや定例ミーティングは必要としない。

状況判断格差も、状況認識格差同様、権限者が実行者でない時に生じる。「これどうすれば良いですか? あれして大丈夫ですか?」確認事項が増える。ミーテイングが増える。出費が増える。

質が悪いのは、管理者は上管理者に管理され、権限者は上権限者からの判断を待つことである。何とも悪趣味な組織構成だ。

計6回来日したレム・コールハース。朝八時から夜十時まで会議室に箱詰めされる建築家。一見、非合理的なミーティング。

彼はいま、ロッテルダムで日本式ミーティングをやっている。