北海道移住DRAFT会議2023-24士別市キャンプイン - 2日目
朝四時ごろ目が覚める。北海道の朝は早い。布団から起き上がる訳がなく、再び眠りに落ちる。浅い眠りと日差しのせいで一時間毎に目を覚ます。結局八時に起床。
シャワーを浴び、前日に美吉屋で買ったパンを食べ、九時ちょっと前に散歩へ。他のメンバーは美し乃温泉へ。散歩の目的地は士別ふどう運動公園。この公園には野球場、テニスコート、陸上競技場がある。大体三十分ほど歩いたところで公園へ到着。それから二十分ほどは公園内を散策する。陸上競技場はメイントラックの他にサブトラックも設置してある。サブトラックはウレタンではなく路面が砂。帰りは剣淵川沿いを北上して宿近くまで歩く。天気も良く、風が心地よい。川沿いにはゲートボール場がある。土曜日の朝ということもあり、ゲートボール場はたくさんの老人で賑わっている。十時三〇分の出発に遅刻しそうになってきたので、小走りを混じえ急ぎ気味に足を進める。
十時二〇分に宿へ戻ってくる。他のメンバーはリビングでまったり。本日、コーディネーターの男性二名は青年会議所の活動があり、キャンプインへは同行しない。女性コーディネーターが一人で選手とDRAFT会議スタッフを引率する。
最初に向かったの水郷公園。天塩川付近にある池を中心に緑地が整備され、おそらく最近、遊具も新しくなり、綺麗でのどかな景観。公園にはランニングコースもあり、外周コースは全長二キロ。公園の広さがわかると思う。公園南側の駐車場から北側に位置するゴーカート場まで徒歩で移動。途中、前日同行していた市役所員のMさんが息子と一緒に遊んでいるところに遭遇する。キャンプインとは関係ないが、別の市役所員も三歳ぐらいの息子と公園へ遊びに来ていて、女性スタッフが挨拶を交わす。この息子はペダルの付いていない蹴って進む自転車に乗っている。すれ違うように出会ったのだが、自分たちがゴーカート場へ向かっていると、息子もUターンしてこちらについ来る。
「そっちじゃない。そっち行ったらまたゴーカートすることになる。」市役所員のお父さんが言う。どうやらこの子もゴーカートをしてきたらしい。結局ゴーカート場近くまでその子はついてきたが、手前でお父さんに強制Uターンをさせられる。
ゴーカート場へ到着。カートは四台。内二台は一人乗りで、もう二台が二人乗り。計六人で行動していたので、全員でカートを楽しむことは出来たが、女性スタッフとDRAFT会議スタッフの一名は乗らないことに。選手三人ともう一人のDRAFT会議スタッフが一人一台ずつカートに乗り運転。自分は二人乗りを運転することになり、一番後ろからスタート。ゴーカートのコースは長さ六〇〇メートル。かなり長い。カーブもたくさんあり、最後にはトンネルも潜れるので、存分にコースを楽しめる。インスタグラムのストーリー投稿用に左手でiPhoneを持ちながら動画を撮影し、右手で運転をする。
カートの次は士別のキラーコンテンツ「コイのエサやり」。場所は同じく水郷公園。コイのエサえさやりがキラーコンテンツと成り得るのか、スケジュールが共有された時に思った。ある種のボケだと理解していた。
コイのエサはカルビーのかっぱえびせん。池脇にある事務所で購入ができる。池にはボートもあり、値段は忘れてしまったが、たしか二人乗りのボートであれば三〇分二百円で乗れる。安い。今回は男女が三人ずつに分かれて、女性チームがスワンボート、男性チームが足漕ぎボートに乗ることに。ボートに乗っている間は絶えず移動をしているので、エサ、つまりかっぱえびせんを投げても、そこまでコイ達はエサに群がらない。基本的には一個のかっぱえびせんに一、二匹のコイが反応をする。しかし、かっぱえびせんは密度が低い。コイがかっぱえびせんを目掛け勢いよく口を開きながら食べ込もうとすると、かっぱえびせんは水圧で押し出され、コイは中々うまくエサを口にできない。
ボートを漕ぎ終えたがエサはまだ半分ぐらい残っている。池の中には小さな孤島があり、そこへ橋が掛かっている。残ったエサは全て橋の上から投げ込む。コイ達は待ってましたと言わんばかりに橋に群がり始め、こちらを向き、口を開きながらエサを待つ。一分ほどで橋下はコイの一面が。エサを待つコイとこぼれたエサを必死で食べようとするコイ。キラーコンテンツたる所以を目の当たりに。
水郷公園を後にし、道の駅へ。当初のキャンプインスケジュールに道の駅は入っていなかったのだが、前日「ソフトクリーム食べに行こうか?」という話が浮上し、出発時間も当初の十一時から三十分早くなった。士別の道の駅はなぜだか侍・武士を謳っている。明治以降開拓された北海道、それも道北エリアに武士との縁があるとは思えない。女性コーディネーターに理由を尋ねると「士別の士だからだよ」と、考えてみれば当然過ぎる答えが返ってくる。発想が佐藤可士和と同じだ。ソフトクリームとは別に、個人的にパン一つと天サイダーを購入。小腹が空いていたので、パンはソフトクリームの後にすぐ食べる。
次は午後に予定していたBBQの食材を買うため、士別唯一のデパートSAIJOへ。SAIJOは道北発で複数自治体で事業を展開する唯一の会社・お店らしい。外観は如何にも平成初期のデパートという感じ。イオンモール、ららぽーとなどと比べると大分見劣りしてしまい、事業状況を心配してしまう。この日は子供向けの職業体験イベントが開催されており、駐車場にはキッチンカーも十五台ほど来ていて、それなりの賑わいを見せている。今日キャンプインに同行できていないコーディネーター二名も青年会議所の一員として職業体験イベント運営に携わっている。デパートに入り、中央エレベーターがある広場みたいエリアでそのコーディネーター二名と会う。青年会議所では、動画編集体験を開くとのこと。ユーチューバー好きの子供たちには人気がありそうな内容だ。
軽く挨拶をしたところで、本題の買い出しへ。買い出しへは来たものの、ある程度買い物は済ましてあるらしく、加えて他BBQ参加者の“おじさん”がたくさん食材を買ってきてくれるとのことだったので、買い忘れた食材や選手たちが食べたい食材を購入。帰り際、青年会議所の人たちに帰りの挨拶に行ったら、“おじさん”家族と遭遇。おじさんは娘を肩車している。十三時頃宿に戻り、三十分ほど休憩。自分は仮眠をとる。
十三時三〇分からBBQの準備を開始。BBQは宿から道路を挟んだ向かいにある駐車場でやる。選手はどちらかというとゲストであり、現地の人でもない。あまり準備における戦力とならないが、何かしらお手伝いできることを見つけ、暇にならないよう心がける。テーブル、椅子、食材などある程度準備が整ったところで男性陣は火おこしを開始。火をおこし始めるちょっと前に市役所企画課の課長さんも合流。一番BBQ慣れしていそうなおじさんが火おこしを先導する。
炭に火が点き、BBQが本格的にスタート。参加者は選手三名、女性コーディネーター、DRAFT会議のスタッフ二名と途中から名寄出身の方がもう一名、市役所企画課の課長と同じく企画課のFさん三人家族、おじさん四人家族、社会福祉協議会の方一名、それから地域おこし協力体の方一名。あと、ベジタリアンでお肉お魚を食べられないエストアールに住み込み中のオーストラリア人ベンも最初の方だけ同席。
普通、BBQといえばお肉から焼き始めるところだが、グリルが二つあるということもあり、なぜかアルミトレイに置かれたカレイが最初に焼き始められる。昨日、焼き鳥屋で食べたホッケもそうだが、カレイも肉厚たっぷりで大きい。子供が焼きそばを食べたいと言い出し、メインのグリルで焼きそばをつくり始め、その片隅でお肉が焼かれる。北海道のBBQではお肉は脇役なのか?ちなみに北海道ではBBQのことを炭焼きという。段々にBBQがスタートしたので乾杯の音頭はなかった。自分は午前中、道の駅で購入した天サイダーを飲み、それを飲み終えてからはオレンジジュースを飲む。大人たちは、近くの酒屋から提供されたビールサーバーでビールをプラスチックカップへ注ぎを飲んでいく。缶ビールはない。こういう大胆な発想は欧米人に近しいと感じる北海道民の価値観。
BBQは十七時ぐらいまで。片付けを済ませ、残ったメンバーはエストアールのリビングへ。子供を除く十五人ほどでババ抜き最弱決定戦を開催。三グループに分かれ、各グループ下二位が最弱王決定マッチへ進む。自分は初戦で五人中三位で上がる。中途半端だ。最弱が決定した後は、各グループ上二位が対決する最強決定戦へ。三位上がりの自分はどちらのマッチにも参加ができない。適当にソファーに座り、近くにいる子供と戯れる。
最強が決定してから程なくビンゴが始まる。成り行きでそうなったので、景品はない。皆んな順当にビンゴになり、ゲームから抜けていく。自分は一向にビンゴになる気配がない。結局、ビンゴ最弱には自分が襲名。
二十時前、おじさん家族とFさん家族は帰宅。残りのメンバー、選手三名、女性コーディネーター、DRAFT会議スタッフ二名、地域おこし協力隊一名はスナックへ。カウンター八席、テーブル席が十六名分があるスナック。ママと二十代後半くらいに見える女性が働いている。お店はタバコの香りが充満。なんちゃってスポーツマンの自分にこの匂いはキツい。二十時開店だが、カウンターはすでに満席。カラオケは置いてあるが、歌を歌う雰囲気ではない。皆んなお酒と会話を楽しみに来ている感じだ。自分たちは予約済みプレートが置かれた六人掛けと四人掛けのテーブル席に案内される。自分は右手前奥の席へ。こういう飲みの席、自然と自分は端の席に座る。可能な限り会話に入りたくたいない本能によるものだろう。ここでも自分はお酒を飲まない。眠気、疲れがあるので最初の二、三杯はコーラを飲み、後はお酒を割る用に出された、ピッチャーに入ったウーロン茶を飲み続ける。途中から青年会議所のイベントに回っていたコーディネーター二名が合流。自分は総じて地域おこし協力隊ともう一人の選手—二人が途中で交代—の三人で話しをしていた。
十二時を回ったあたりでスナックを去る。まばらな街灯が灯された士別の夜。五分ほど宿まで歩き、帰ったら歯と顔を洗いすぐ就寝。