AWSome Dayに参加しました
3月20日木曜日、AWS主催の基本サービス・用途を紹介するオンラインイベント、AWSome Dayへ参加してきました。今回のイベントは5セッション、以下のセッションから構成されていました。
モジュール1: グローバルインフラストラクチャとコンピューティング
モジュール2: ストレージとデータベース
モジュール3: ネットワークとセキュリティ
モジュール4: AWSでイノベーション
モジュール5: 次のステップのご紹介
このブログでは、AWSの知識を身につけたい開発者ではなく、クラウドサービスを選定されている経営者、プロジェクトマネージャー/ディレクターを対象に、今回ご紹介されていた内容を抜粋・まとめさせて紹介させていただきます。
時間がある方はぜひ動画を閲覧してみてください。
※各サービス名には「Amazon」、「AWS」の接頭語がつく場合がほとんどですが、簡略させていただきます。
クラウドとは?
クラウドコンピューティング(通称: クラウド)とは、簡単に述べると、インターネットを介して、他の人が用意したコンピューティングリソース、具体的にはサーバー、データベースなどを利用することです。
従来からあるレンタルサーバーも、この定義には当てはまりますが、一般的にクラウドサービスでは、遥かに豊富で多様なリソースが提供されています。
クラウドと対称となる言葉にオンプレミスがあります。オンプレミスは、自社でサーバー、データベース、ネットワークなどを所有し、独自のコンピューティング環境を構築することを指します。
以下に2つの比較をまとめてみます。
クラウド
- 他社が用意したリソースを利用する
- セットアップ期間: 数分
- 変動費(従量課金制)
- キャパシティ予想不要
- 世界中にデプロイ
オンプレミス
- 自社でリソースを用意する
- セットアップ期間: 1ヶ月~
- 固定費
- キャパシティ
- 自社でリソース運用・保守
- 自社保有地へデプロイ
オンプレミスに対するクラウドの利点としては、以下が挙げられます。
- 俊敏性: オンデマンドセルフサービス
- 伸縮性: 需要に合わせて迅速に拡張
- コスト削減: 使用した分だけ料金を払う
- グローバルデプロイ: 広範囲のネットワークアクセス
クラウドの概要がわかったところで、ここからは実際にイベントで紹介されていた内容をまとめていきます。
モジュール1: グローバルインフラストラクチャとコンピューティング
まず、AWを使いこなす上で重要なのが、グローバルインフラストラクチャという仕組みです。
グローバルインフラストラクチャ
上述、クラウドの特徴に世界へデプロイとありましたが、AWSでは使用するリソースの地域を世界31ヶ所から選べます。AWSのグローバルインフラストラクチャは以下のような構成をしています。
- グローバルインフラストラクチャ
- リージョン(地域): 3つ以上のAZ
- アベライビリティゾーン(AZ): 1つ以上のデータセンター。同AZにあるデータセンターは原則、半径100km以内になければならない
- データセンター: 数千台のサーバー
- アベライビリティゾーン(AZ): 1つ以上のデータセンター。同AZにあるデータセンターは原則、半径100km以内になければならない
- リージョン(地域): 3つ以上のAZ
日本国内には東京と大阪、2つのリージョンが存在します。国内サービス展開時は、国内リージョンを選ぶことが基本的にはベストプラクティスです。しかし、日本人、日本の企業は国内リージョンしか使用できないという訳ではありません。世界各地のリージョンを使用できます。
例えばですが、日本は自然災害が多いです。地震、津波、土砂崩れ、氾濫、噴火。自然災害リスクを避けるため、あえて国内リージョンの使用は避け、お隣、韓国リージョンを使用する、もしくは日本と韓国、両方のリージョンを使用して環境を構築するというのも1つの手です。
リージョンという概念はAWSの根幹を成しますが、リージョンが関係しないCloudFront、IAM(後述)などのサービスもあります。
コンピューティング
AWSのサービスは大きく別け、アンマネージドサービス(managed service)とマネージドサービス(unmanaged service)の2つがあります。
アンマネージドサービスとは、あくまでAWSはリソースのみを提供し、、OSアップデート、ソフトウェアアップデート、CPU/メモリ選定、起動/停止など、リソース運用・管理は利用者で行うサービスです。
マネージドサービスは、基盤となるコンピューティングはAWSが管理してくれるサービスです。
コンピューティングの内、AWSを代表するアンマネージドサービスがElastic Compute Cloud(EC2)、マネージドサービスがLambdaです。
Elastic Compute Cloud
AWS提供のVirtual Private Server(VPS)だと思ってください。
一般的なVPS提供会社では、4種類程度のスペックから1つのマシンを選びますが、EC2は、2024年3月現在、様々な用途に応じた700種類以上のラインナップがあります。EC2では、起動しているサーバーのことをインスタンスと呼び、ラインナップのことをインスタンスタイプと言います。
インスタンスファミリー | ユースケース |
---|---|
汎用 例: A1、T3、T3a、T2、M6G、M5 |
|
コンピューティング最適化 例: C5、C5N、C4、C7g |
|
メモリ最適化 例: R5、R5N、x1E、X1、z1d |
|
ストレージ最適化 例: I3、i3EN、D2、H1 |
|
高速コンピューティング 例: P3、P2、Inf1、G4、G3、F1 |
|
インスタンスタイプ名は、「用途(アルファベット) + 世代(数字) + スペック(サイズ)」から構成されています。t3.microとt4.microでは、t4.microの方が新しく、CPU/メモリのスペックは同等ということになります。
EC2の特徴
- 伸縮性: サーバー数を簡単・高速に増減
- 自由制御: 好きなソフトウェアをインストール、設定
- 柔軟性: 再起動1回でメモリ・CPUアップグレード
- 低コスト: 使用していない間はサーバー停止
EC2は、AWSの顔と言っても過言ではありません。AWSの利用を開始したい方は、まずEC2から使い始めることをお勧めします。
Lambda
最近よく耳にする「サーバーレス」。このサーバーレスサービスがLambdaです。サーバー“レス”なので、サーバーがないわけではありません。前述の通り、Lambdaはマネージドサービスです。基盤となるコンピューターはAWSが管理してくれます。そのため、開発者はサーバーの設定・管理をする手間が省け、よりプログラムミング・開発に専念することができます。サーバーを自分で維持する必要がない、サーバー“レス”になります。
EC2では、インスタンス起動中は常に課金されますが、Lambdaは実行時間にのみ課金されます。
仮説として、使用するCPUのクロック数が2GB、1つの処理データ量が100KBのプログラムがあったとします。1秒間に2GBのデータ処理ができますので、100KBのデータ処理をする時間は、100KB / 2GB = 100,000 / 2,000,000,000 = 1 / 20,000秒。つまり0.00005秒に対してだけ課金されます。
Lambdaの特徴
- 効率性: サーバー管理不要
- 自動スケール: 急な処理増加に自動対応
- 可用性: 予備サーバーはAWSが用意
- 耐障害性: リソース分散
Lambdaの使用例
Lambdaの具体的な使用例として、サムネイル画像の自動生成があります。
モジュール2: ストレージで紹介するサービスへ画像をアップロードします。アップロードした画像はカメラで撮影したサイズと同じ、高解像度です。画像をアプリケーションから呼び出したい時、特に一覧上で画像を表示したい時、この元ファイルをそのまま読み込んだのでは、ファイルサイズが大きく読み込みに時間がかかります。一覧性が乏しくなるとともに、従量課金性のAWSにおいては、読み込み量が増え、コストも増加してしまいます。
このような時、アップロードと紐づけたLambda、画像縮小プログラムを作成しておき、自動で一覧用のサムネイル画像を生成することができます。
モジュール2: ストレージとデータベース
モジュール2はファイルおよびデータの保存場所についてです。アマゾン購入サイトの商品ページを訪問すると、以下のようなデータが表示されています。
- 商品情報
- 商品画像
- 在庫
- ショッピングカート
- アカウント情報
- etc.
これらのデータはクラウドのどこかに保存されていて、それが読みこまれて初めて、利用者はその情報を見れます。各々のデータには適当な保存場所、大きく別けてストレージとデータベースがあります。厳密に言うとデータベースもストレージの1種ですが、ここではわかりやすく2つに別けて説明します。
ストレージ
ストレージと聞くと、IT人材でない方には少しわかりづらいかもしれませんが、ハードディスク、SSDだと思ってください。パソコンを買う時、「容量: SSD 500GB」という書かれているものです。
ストレージも2分類でき、ローカルストレージと共有ストレージがあります。
ローカルストレージは、特定のコンピュータに付随されたストレージ。原則、そのコンピューター内でしか、そのストレージへアクセスすることができません。AWSが提供するローカルストレージサービスがElastic Block Store(EBS)です。
先に述べたEC2とEBSはセットで稼働し、標準で8GBのEBSが付与されます。もちろん容量を増やすこともできますが、大きい容量のEBSを付与すると、その分価格も上がります。あくまで必要最低限のEBSを選びましょう。
共有ストレージは書いて字のごとく、複数コンピューターが一緒に使えるストレージです。
EC2は自由なサーバーですので、EC2+EBSを組み合わせ、ネットワークを介して、1つのインスタンスを共有ストレージのように動作さることも可能です。しかし、EC2の設定、EBSの選択・拡張など、運用コストが肥大化してしまいます。
そこで登場するのが、AWS提供の共有ストレージSimple Storage Service(S3)です。ブラウザを通したリアルタイムなファイル読み書きの利便性はありませんが、ドロップボックスみたいなものだと思ってください。俗に言うクラウドストレージです。
先のアマゾン購入サイトの例では、商品画像がS3へ保存されます。S3は、画像、PDFなど、静的ファイルを
保存しておく場所として使用されます。モジュール1 Lambdaの項で紹介した、サムネイル生成プログラム例で読み込まれる元画像、生成したサムネイル画像もS3へ保存されます。Lambdaに“共有”されるのです。
AWSが提供するもう1つの共有ストレージが、S3 Glacierです。通常のS3は頻繁に読み書きが行われるファイルの保存先として最適化されています。一方でS3 Glacierは、利用頻度が低い且つ大容量のデータ、例えばですが、10年以上前の膨大な研究データの保存先として最適化されています。
データベース
データベースは、膨大な表計算ソフトだと思ってください。類似したデータが数万から数億個存在し、その中から特定のデータを検索・表示・書き込みすることができます。
AWSが提供するデータベースサービスは全て、マネージドサービスです。冗長化(フェイルオーバー、プライマリ/スタンバイ)、自動バックアップなど、自身で全てを対応しようとすると数週間はかかる作業をAWSが管理してくれます。
データベースには、リレーショナルと非リレーショナル(NoSQL)の2種類があります。AWSが提供するリレーショナル/非リレーショナルデータベースは以下となります。
- リレーショナル
- Relational Database Service(RDS)
- Oracle
- MySQL
- MariaDB
- PostgresSQL
- Microsoft SQL Server
- Aurora
- RedShift
- Relational Database Service(RDS)
- 非リレーショナル
- DynamoDB(キー/バリュー)
- ElastiCache(インメモリ)
- MemoryDB for Redis(インメモリ)
- DocumentDB(ドキュメント)
- Keyspaces(ワイドカラム)
- Neputune(グラフ)
- QLDB(台帳)
- Timestream(時系列)
リレーショナルデータベースの例として、注文表と商品を取り上げてみます。
注文番号 | 商品番号 | 個数 |
---|---|---|
1 | 101 | 10 |
2 | 102 | 5 |
3 | 103 | 12 |
商品番号 | 商品名 | 単価(円) |
---|---|---|
101 | やきそば | 300 |
102 | かき氷 | 100 |
103 | ラーメン | 600 |
注文表には直接、商品情報を細かくしておかなくても、商品番号だけ記載しておき、商品データを参照することで、商品の詳細を把握できるという仕組みです。注文表と商品情報が関係し合っているわけです。
AWSでデプロイするRDSは標準でマルチAZにデプロイされ、結果、高可用性を実現できます。
非リレーショナル(NoSQL)データベースでは表形式以外の形で保存されます。非リレーショナルなデータ形式の1つにキー/バリューがあり、AWSでは、DynamoDBが該当します。
1つ、コインロッカーをキー/バリューの例に挙げたいと思います。コインロッカーは荷物(バリュー)を収納し、鍵(キー)を掛けます。その荷物は鍵を掛けた人、もしくはコインロッカーの管理人しか取り出せません。中にどんな荷物が入っているのかは、荷物を入れた人した知らず、管理人も一度ロッカーを開けてみないと、中に何が入っているかはわかりません。
また、コインロッカーは荷物を一時保管する場所です。1度使われた1つのロッカーは、次の利用者が現れるまで空になります。同様に非リレーショナルなキー/バリューデータも一時保存する場所として活用される場合が多いです。
DynamoDBのユーズケースとして、リアルタイムなゲームのランキングがあります。1プレイ毎に最新のランキングに更新される。ゲームを終了した後、そのランキング情報は必要ありません。(記念に取っておきたいプレイヤーはいるかもしれませんが)
非リレーショナルデータベースはリレーショナルデータベースに比べデータ構造がシンプルであり、データの読み書きが高速です。
モジュール3: ネットワークとセキュリティ
モジュール1、モジュール2を通してコンピューティング、別の言い方をするとアプリケーション部分、それからデータの保存場所について概要を理解できたと思います。モジュール3では、このアプリとデータを、どのようにして保護するかご紹介します。
ネットワーク
一般の人からすると、ネットワーク = インターネットと解釈される方が多くいるかもしれませんが、違います。インターネットは、インターなネットワーク。インターナショナルであれば、ナショナル、つまり国・国内がインターになると、国際・世界になります。ですねので、インターネットであれば、ネットワーク、通信網がインターということで、世界的もしくは外に開かれた通信網という解釈になります。
インターネットでないネットワークには、どういったものがあるか? わかりやすい例はパソコンとプリンター。パソコンとプリンターが同じネットワークにあることによって、パソコンからプリンターへPDFファイルを送信し、プリンターは受け取ったファイルを印刷できる。
最近ではAirDropなんかもわかりやすい例かと思います。自分のiPhoneから知人のiPhoneへ写真を共有。これは2つのデバイスが同じネットワーク、ブルートゥース回線で繋がることによって実現できるわけです。
AWSの場合は、EC2インスタンス同士であったり、EC2とRDSが通信し合う必要があります。このAWSリソース間のネットワークがVirtual Private Cloud(VPC)です。利用者専用のネットワーク空間だとご理解ください。
VPCは大きく以下の要素から成り立っています。
- インターネットゲートウェイ: インターネットへ繋がる玄関
- アベライビリティゾーン: マルチAZ冗長化(一般的)
- ルートテーブル: アクセスルールを定義
- ネットワークACL: トラフィック許可/拒否
- サブネット: ワークロードの分離
- パブリックサブネット: インターネットにつながるネットワーク(ウェブサーバー, etc.)
- プライベートサブネット: インターネットにつながらないネットワーク(DB, etc.)
- セキュリティグループ: ファイアウォール
VPC内のリソースは、パブリックサブネット内にあり、インターネットゲートウェイを介してのみインターネット、つまりVPCの外側と通信が可能になります。
このセキュリティグループは、AWSリソースへ割り当てられるファイアウォールだと思ってください。1つの1つのリソースに対して独自のセキュリティグループを設定することもできますし、同じセキュリティグループを複数リソースで共有することもできます。
各AWSアカウントには、各リージョン毎、標準で1つのVPCが予め用意されています。追加VPCの作成は無料で行うことが可能です。
VPCでは、各要素毎に特定のアクセスに対する防御が張られています。これが多層防御と呼び、AWSを安全に利用できる仕組みの1つです。
セキュリティ
AWSにおいて、セキュリティは最優先事項です。AWSでは以下の取り組みに力を入れいています。
- モニタリング
- 自動化
- 高可用性
- 高信頼性
また、AWSでは責任共有モデルを採用しています。責任共有モデルとは、利用者とAWS両者で責任を取り合おうという仕組みです。
- 利用者の責任
- プラットフォーム、アプリケーション、アイデンティティとアクセス管理
- オペレーティングシステム、ネットワーク、ファイアウォールの設定
- AWSの責任
- 基盤サービス
コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーク - グローバルインフラストラクチャ
リージョン、アベイラビリティゾーン、エッジロケーション
- 基盤サービス
特に利用者自身で行わなければならないのが、アイデンティティとアクセス管理です。
アクセス管理には、認証(あなたは誰か)と認可(何をしてよいか)があります。この2つを管理する機能がIdentity and Access Management(IAM)です。
IAMでは主に以下に記した要素の制御・管理をします。
- IAMユーザー: AWSを利用できるユーザー
- IAMポリシー: 認可詳細
- IAMグループ: 同一認可を受けた複数ユーザー
- IAMロール: リソースへの認可
1ユーザーに対して、“できる”と“できない”認可を指定した場合、“できない”が優先されます。
IAM管理は大変です。誰がどんな権限を持っているかを常に把握していなければ、安全なサービスを構築できません。セキュリティ面における具体的なモニタリングサービスにCloudTrailがあります。CloudTrailでは、誰が、何を、いつ、どこで、どんな設定が発生したかを確認することができます。
Trusted Advisorでは、セキュリティ改善を教えてくれるだけでなく、コスト削減やパフォーマンス向上のアドバイスもしてくれます。
モジュール4: AWSでイノベーション
モジュール4では、具体的にAWSのサービスを使用してどのようなアプリやサービスをつくれるかというお話です。
IoT
Internet of Things(IoT)はモノがインターネットに繋がることです。例えば自宅のエアコンをインターネットへ繋いでおけば、帰宅30分前にスマートフォンから冷暖房を入れておくことができます。既に当たり前になっていますが、スマートウォッチも立派なIoTです。
IoTの活用例には以下のようなものがあります。
- 産業プロセスの性能・生産性向上
- 患者の健康・体調管理をリモート監視
- 在庫追跡・管理
- 作物収穫量向上
- エネルギー資源最適化
- 自動運転車
- 安全性向上
IoTとしてよくある例が工場なので置くセンサー。センサーから取得したデータをインターネットを介して取得する、異常データを感知することができます。
IoTを実現する上で課題になるのが、デバイスの管理。例えば工場にセンサーを1000個用意し、新しいセンサープログラムをインストールしようとするとデバイス1000個にインストールしなければなりません。そこで必要になってくるのが、クラウドベースのIoTであり、IoT Coreです。プログラムがクラウドにあるので、クラウドにあるプログラムを更新すれば、自動で1000個にプログラム変更が行き渡る仕組みです。
しかし、そこで新たに発生する問題が、インターネットを介した遅延問題です。プログラムがインターネットの先にあるので、感知からデータ取得・分析までにはどうしても時間がかかってしまい、対応が遅れてしまう。
このような問題を解決するために誕生したサービスがIoT Greengrassです。
IoT Greengrassは、本来クラウドにあるプログラムをローカルデバイスのすぐ隣、センサーの例であれば工場内に設置できるサービスです。プログラムとデバイスが隣接し合うことによって、ネットワーク環境から受ける影響を抑えたIoT環境が実現できます。
IoT Greengrassを実際に利用した企業がBayer CropScienceです。同社は、種子栽培に関するデータを収集、処理、分析にIoTを活用し、より迅速にデータを可視化しています。
機械学習
機械学習(Machine Learning: ML)は人口知能の1種にあたり、以下のような階層構造で成り立っています。
- 人工知能(Artificial Intelligence: AI): 論理、ifステートメント、機械学習など
- 機械学習(Machine Learning: ML): 大量のデータからパターン抽出。ロジックモデル自動構築
- 深層学習(Deep Learning: DL): 人口ニューラルネットワークを用いたサブセット
- 機械学習(Machine Learning: ML): 大量のデータからパターン抽出。ロジックモデル自動構築
機械学習を用いた最も良い例がアマゾン自身です。
- レコメンデーション
- 160万/受注処理
- アレクサ(音声認識)
- プライムエア
AWSが提供するML関連サービスは大きくAIサービス、MLサービス、MLフレームワーク/インフラストラクチャの3つに分類されます。
先にMLサービスを紹介すると、SageMakerがあります。
SageMakerはPythonコードでMLにおける準備、構築、トレーニングとチューニング、デプロイと管理ができるサービスです。SageMakerは、アメリカのNational Football Leagueにも利用されており、選手の肩などにつけられたセンサーで選手の動線、ボールの動きを機械学習し、リアルタイムで可視化することで、よりビジュアルに優れたテレビ中継、アナウンスができる仕組みになっています。
MLサービスは学習、モデル化も利用者が行わなければなりませんが、AIサービスは、Amazonが既に持っている学習モデルを利用できるサービスで、その1つがRekognitionです。Rekognitionは画像解析・認識サービスで、以下のことができます。
- シーン検出: モノ検出、
- 顔分析: 顔認識、表情分析
- 顔比較: 同一人物を特定
- 顔認識: アプリケーションレベルでの顔認証
Ground Station
近年、航空宇宙事業が注目を集めており、人工衛星打ち上げコストは年々低下傾向にあります。しかしながら、人工衛星は打ち上げたものの、地上ステーション、つまりパラボナアンテナの建設・運用費用は莫大になってしまうのが業界的な問題です。
では、そのバラボナアンテナもクラウド化してしまえば良いではないか、というのが
Ground Stationです。人工衛星・Ground Stationを活用した例は以下があります。
- 天気予報と農業
- グローバル輸送管理と海賊対策
- 地球の観測と火災対策
- 小売り予測
モジュール5: 次のステップのご紹介
こちらのモジュールはAWS学習教材に関する紹介です。基本的には開発者向けの内容が多いですが、より深くAWSを理解したいマネージャー、ディレクターに役立つ情報もありますので、興味のある方は目を通してください。
ここまでの各モジュールで、AWSの基本はざっくり理解できたかと思います。では次、何をするべきか? 大まかに次のステップとしては以下の3つがあります。
- 開発を開始
- 学習を継続
- 認定資格を取得
開発を開始
まず何より理解を深めるのであれば、実際に触ってみることが効果的です。AWSにはコストなしで始められる、無料利用枠があるので、安心してAWSを始めてみることができます。
無料枠を超えて利用してまった時、多額の請求が来るのが怖いという場合でも、事前に請求アラーム設定、例えば月30ドルまで、という風にしておけば、メールなので、設定課金額に達したことを通知してくれます。過剰な課金をしてしまう心配はありません。
開発者の方であればSDK、CLIツールをダウンロード・インストール・利用してみるのも良いです。
基本的にAWSは、既にある機能を組み合わせて利用していきます。よくある構成を数クリックで設定・デプロイできるクイックスタートを利用してみるのも、1つAWSを理解していく上では、役に立つかもしれません。
学習を継続
AWSでは以下のような学習リソースを提供しています。
- ドキュメント・資料
- AWSドキュメント
- ホワイトペーパー
- よくある質問
- ソリューション実装
- クラウドサービス活用資料集
- ハンズオン
- ハンズオン資料
- ハンズオンチュートリアル
- AWS Builder Labs(有料サブスクリプション)
- ウェビナー・イベント
- Webinar
- 初心者向けセミナー
- AWSome Day Online
- AWS Builders Online Series
- AWS Innovate
- AWS Summit
- Webinar
中でも初学者にお勧めなのが、Builders Online Seriesになります。AWSome Dayでは基礎的な部分にフォーカスしていますが、機械学習のようなトピックを絞った学習が可能なウェビナーです。
上記の教材に関しては、自ら学ぶものになりますが、誰かに教えてもらえるものとして、AWSトレーニングがあります。このAWSトレーニング、大きく2つの教材に別れています。
1つ目が、Skill BuilderというAWS公式のeラーニング。基本的には無料で利用可能で、現在、300種類以上のコースが日本語化されています。中には、テストも用意されているので、自分の理解度をチェックすることもできます。初学者におすすめのコースが、Cloud Practitioner Essentialsになります。Cloud PractitionerとはAWSの認定資格の名称で、その基礎を学べる内容になっています。
2つ目が、クラスルームトレーニングです。クラスルームトレーニングでは、AWS認定講師がライブで授業を開いてくれます。その場で講師に質問ができたり、ディスカッションに参加することができます。
教材がたくさんあり過ぎてどこから手をつけて良いかわからない。そんな方に使用していただきたいのが、ランプアップガイドです。このガイドは、自分の役割・職種別に、どういったステップで学習を進めていけばよいかをまとめたドキュメントになっています。特に初学者にお勧めなのが、クラウドエッセンシャル(Cloud Essentials)です。
前項で、AWSを理解するには実際に触ってみることが効果的であるとお話ししましたが、その触る手順、設定・デプロイをガイドしてくる動画でが、Hands-on for Beginnersです。1動画あたり10分程度の長さなので、隙間時間に学習してみることもできます。この動画もAWSアカウントを持っていれば無料で閲覧することができます。
AWS認定
いろいろ勉強する中で目標としていただきたいのが、認定資格の取得です。この資格、現在、世界で100万認定を超え、国内においては5年連続、欲しいIT資格ランキングで1位を獲得しています。
認定資格は以下の12種類があります。
- Foundational(初級)
- Cloud Practitioner
- Associate(中級)
- Solutions Architect
- Developer
- SysOps Administrator
- Professional(上級)
- Solutions Architect
- DevOps Engineer
- Speciality(専門)
- Advanced Networking
- Data Analytics
- Database
- Machine Learning
- Security
- SAP on AWS
認定資格を取りたい方には認定資格に特化した認定試験ワークショップ(定期)も開催されています。 こちらのワークショップも無料で受講することが可能で、ライブ開催なので、その場で質問もできます。
おわりに
AWSに限ったことではありませんが、理解を深めていくためには、インプットとアウトプットを繰り返すことが重要です。このブログでAWSの概要はご理解いただけたと思いますので、次はアウトプットを試してみてください。開発者でない方には、認定資格を取ることも良いアウトプットの1つかと思います。
認定資格を取得する上でのコツ。それが先に申し込むことです。「いつか資格を取得する」ではなく、先に申し込むことによって、逆算的に学習を進めることができ、学習内容の吸収もより向上するかと思います。
初学者の皆さんはまず、Cloud Practitionerに申し込んでみましょう。